・・・・・

お通夜に行ってから一週間経った。


木曜の朝、部長が「大阪・N警察署ってあるのか?」と。
HがあるんだからNもあるでしょ?
課長に「何かあったのですか? また交通事故?」とたずねると、「うん・・」と。
何なんだろう・・・?


前夜、K女性が交通事故で亡くなった、と。
え・・・・・!?
うっそ〜。って、そんな悪意のある嘘、誰もつくわけがない。
なんで・・・?
詳しいことは、まったくわからない。
情報を求める電話があちこちからかかってくるが、答えようがない。
夕方になって、お通夜は明日、その翌日に葬儀・告別式、という日程だけがわかった。
供花を、会社の分と故人の本籍会社の分と、出す、ということを指示された。


金曜の朝。
弔辞連絡書が届いていた。
回覧してるんだけど、見せてもらわないと!
弔電や供花の手配をしないといけない。
供花の申込用紙に記入してFAX。
そうしているうちに、部長・課長は、故人の元へ出かけて行った。
代金は、その夜に直接支払うことにしたら?と経理担当に聞いてみる。
みんな行くのだからそのほうがいいよねと、出金伝票を書いて現金を用意する段取り。
弔電を打つ。
台紙はいつも一番安いものにするのだけど、今回は。
どれにしようか、故人をよく知っている人に聞いて決めてもらう。
文面も、いつものとはちょっと違うものにして。
私がやることはこんなものかな。
定時退社でお通夜に行くので、ちゃっちゃとやることをやらないと。
なんだか、集中できない。


他の部の部長が連れて行ってくださるので、みんなにくっついて行く。
なんとなく、場所はわかるんだけどね。
到着したら。
それまで明るくしていたみんなが泣き出してしまって。
初めて会う支店の女性たち。目が真っ赤。
私は、故人との思い出がない。
電話を取り次ぐ程度だったかな。
亡くなったと聞いても、お顔が浮かばなかった。
祭壇のご遺影。明るい笑顔。
故人のお母様の姿を見て、ご遺影を見たら、流石に少々目が潤んだ。
弔電の台紙を選んでくれた同僚が、「ひまわりが良い」と言った。
弔電用の台紙の商品には、ひまわりはなかった。
けれど「黄色は必要!」というので、黄色い押し花が大目のものにした。
納得。
なんで・・・? 信じられない・・・。とみんなが言っている。
一番信じられないのはご本人だろう。
一瞬すぎて、自分が死んでしまったことをわかっていないよねー、と。


彼女がどうして交通事故に遭ってしまったのか、今も私は知らない。
時間に余裕を持って行くようにしよう。
交通ルールを守って、気をつけて歩こう。
そうしていても事故に遭ってしまうこともあるけどね。